高校生と大学生のための金曜特別講座

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2005年度夏学期プログラム

2005.4.15

21世紀の知への誘い

講師:小林康夫 (表象文化論)

東京大学大学院総合文化研究科超域文化科学専攻

この講義では、大学という場所から若い高校生諸君にメッセージを伝えたい。まず、「若い」ということは学問にとって決定的に重要であり、今なら君達はいろんなものを受け入れる柔軟性を持っている。今だから可能な世界との関わり方を大切にしてほしいということ。そしてもう一つは、高校生諸君には、知識を詰め込むことよりも「学ぶ力」を身につけてほしい、ということである。今この時期に、生涯にわたって「ものを考える能力」を身につけてほしいと願っている。今回は「若さ」の重要性について話してみたい。

2005.4.22

世界史の中のビートルズ

講師:佐藤良明(英語)

東京大学大学院総合文化研究科超域文化科学専攻

ビートルズは、イギリス・リヴァプール出身の4人組のバンド。1960年代にとてつもない熱狂を生み出した。一体何故ビートルズはそんなにも若者達の心を惹きつけたのだろうか。実はこの現象には、1960年代という時代背景が大きく関係している。地球が電波でつながれた時代。旧植民地が独立し、人種差別撤廃の運動が盛り上がった時代。この講義では60年代を振り返りながらビートルズブームの意味を考えていきたい。

2005.5.6

榎本武揚から見る世界史

講師:臼井隆一郎(ドイツ語)

東京大学大学院総合文化研究科言語情報科学専攻

榎本武揚という人物を知っているだろうか。彼はいわば土方歳三の脇役のような存在で、華々しく表舞台に取り上げられることは少ない。しかし彼は、幕末から明治にかけて、歴史上語られることの少ないドイツやデンマーク、オランダとの関係において活躍した人物である。榎本とヨーロッパとの関係は非常に興味深い。榎本武揚を通して鎖国から開国へと変化していく当時の日本と諸外国の関係をみていこう。

高校生と大学生のための東大授業ライブ
2005.5.13

地球は危険がいっぱい:生命の絶滅と進化

講師:磯崎行雄(宇宙地球科学)

東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻広域システム科学系

現在の地球には多様な生物が存在しているが、これらは原始から絶えず順調に進化してきたわけではない。顕生代(古生代・中生代・新生代)だけで5回の大量絶滅があったと考えられている。多数の分類群が同時または短期間にグローバル規模(海陸の多様な環境を含む)で一斉に絶滅するこの「大量絶滅」の原因は何だろうか。絶滅の謎を地球から読み解いていきます。

高校生と大学生のための東大授業ライブ
2005.5.27

あみだくじの数理

講師:桂 利行(数学)

東京大学大学院数理科学研究科

大学での数学「数理科学」は、代数・幾何・解析・応用数学の4分野に分けられているが、習ったことだけを使って解答していく高校数学とは違い、論理的に一貫していればどの分野の方法を使って解いても構わない。つまり、大学の数学は自由であり、無限の可能性を秘めている。この講義では代数学の一分野である群論について「あみだくじ」を使って考えようと思う。あみだくじという身近なもののなかにも数学の原理が隠されていることを感じてほしい。

高校生と大学生のための東大授業ライブ
2005.6.3

運動の疲労は何が原因だろうか

講師:八田秀雄(スポーツ・身体運動)

東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻生命環境科学系

疲労の原因は、筋が無酸素状態となって乳酸が蓄積し、体内を酸性にすることだと考えられていた。しかし、よほど激しい運動をしない限り、日常生活では体内の乳酸レベルはほとんど変化しない。つまり、乳酸は肩こりや筋肉痛といった日常の疲れとは無関係なのである。では疲れの原因は何なのだろうか。疲労とは何なのかみていこう。

高校生と大学生のための東大授業ライブ
2005.6.10

民主主義はいまも魅力があるのか?

講師:森 政稔(社会・社会思想史)

東京大学大学院総合文化研究科国際社会科学専攻

民主主義は学校教育などではじめから正しいものとして教えられていることで、お題目になってしまい、その価値が何であるかがかえってわかりにくくなっている。また最近になって民主主義の価値の根本を考え直すべき事態も生じている。こうした点から、少数者の権利と差異の政治、ポピュリズム・ナショナリズムと民主主義の関係などの問題を取り上げ、民主主義を再考してみたい。

高校生と大学生のための東大授業ライブ
2005.6.17

中国で環境問題に取り組む

講師:安冨 歩(歴史学)

東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻

中国北部の黄土高原は、樹木のほとんどないむき出しの黄土が続く、文字通り黄色い大地である。ここでは深刻な土壌流出や水質汚染が進行しているが、この流れる大地の上で人々は美しい暮らしを展開している。
この地域で私たちは環境と文化を回復する試みを展開している。本講義では、その活動についてご紹介しよう。

高校生と大学生のための東大授業ライブ
2005.6.24

グリーンケミストリーの考え方と進め方:
持続的社会に必要な環球にやさしい化学技術

講師:尾中 篤(化学)

東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻相関基礎科学系

グリーンケミストリーとは、「地球環境にやさしいものづくり」を目指す化学のことである。現在、我々の生活は多様な化学物質の恩恵を大いに受けているが,一方でその危険性がニュースに取り上げられることも多く、化学物質の安全な管理が強く求められている。グリーンケミストリーは、化学物質を生産する 際に環境への負荷軽減をはかるとともに、化学と社会の信頼関係をつくりあげることも目標としている。このようなグリーンケミストリーの考え方を、米国の アナスタスとワーナーが「グリーンケミストリーの12ケ条」としてまとめており、この講義では実例を示しながら紹介する。

2005.7.1

朝永振一郎と湯川秀樹:高校時代からの軌跡

講師:岡本拓司(科学史)

東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻相関基礎科学系

日本で最初にノーベル賞を受賞した湯川秀樹と2番目に受賞した朝永振一郎は、よく似た環境で育っている。二人は同じ中学、高校、大学で学び、朝永の方が1歳年上であったが、体が弱く5年間中学校に通ったために、4年で中学を終えた湯川と高校からは同学年となった。どちらの父親も京都帝国大学の教授であり、学問研究に理解の深い家庭で育った点も共通である。しかし、物理学者として二人が行った研究は、多くの点できわめて対照的であった。二人の物理学者の生涯と研究を比較しながら追うことで、もって生まれた性格と、教育、時代背景等とのかかわりについての理解を深めたい。

高校生と大学生のための東大授業ライブ
2005.7.8

錯覚(心の不思議):駒場自然科学博物館の展示を見ながら

講師:長谷川寿一/村上郁也(心理学)

東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻生命環境科学系

2005年7月16日から9月18日まで、駒場キャンパスにある駒場博物館1階の美術博物館で「錯覚展」が開催されます。そこで展示予定の錯視作品の作者である立命館大学の北岡明佳先生にも加わっていただき、実際に作品を見ながら人間の心の働きについて考えてみたい。なお、駒場博物館の2階には駒場の歴史についての展示や一高時代の実験器具、骨格標本などが常設展示されているのでそちらにもぜひ気軽に足を運んで欲しい。

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