講義に関するQ&A
講義に関するご質問等を一部ご紹介します。
※当日の質疑応答、アンケート及び、後日フォームやメールにて送信されたものより抜粋。
「幸せな人生を過ごすための知恵・お金とは何か?」 平野 哲先生
「スーパーマンを救え−生物の再生」 松田良一先生
「イングリッシュ・ガーデンの裏側」 安西信一先生
「アフリカの飢餓と闘う−マンザナー・プロジェクトの現在」 Gordon H. Sato先生
「意外と身近な物性物理の世界−物理をたのしむ−」 前田京剛先生
「生物が持つ分子機械の形と働きを見る」 栗栖源嗣先生
「日常生活から歴史をとらえ直す」 義江彰夫先生
平野先生
Q1.創造力を高めるのにはどうすればよいのでしょうか?
A.方法が2つあると思います。
@感じたことをすぐその場で文字にする。
何も持たずに(例えば楽器、カメラなど)、紙と鉛筆があればできることが重要です。俳句や和歌にすると日本人としての感性も磨かれるでしょう。
A事象の細かい変化に気付く、違いを理解する。
1月、2月、3月のように12ヶ月の升目をつくっておき、学校の門の前の櫻、富士山、なんでもよいがあるひとつの事象を決めて、毎月の升目にその事象について書き留めていく。事象は自然のなかにあるものがよいと思う。同じものでも月ごとに書いてみると、細かい変化に気付き、違いを理解できるのではないか。
平野先生
Q2.40年先のことを考え眠れないときがあるのですが、不安を解消もしくは減らすためには何をすればよいのでしょうか?(高校生・女)
A.自分ができることをまずやることだと思います。例をあげれば、社会人になったら年収の15%を貯蓄するなどです。決めたことを続けていることで、不安が自信になっていきます。小さな成功が大きな安心につながっていきます。
▲このページのTOPへ松田先生
Q1.今回のテーマ「生物の再生」ですが、この分野の発展は「ヒトの老化・長寿」に影響はあるのでしょうか?ヒトが100年、200年も生きられるような時代に近づきますか?(高校生・女)
A.再生能力の低下と老化は大いに関係があります。加齢とともに再生能力は明らかに低下します。細胞の分裂回数は有限であるといわれていますので、高い再生能力を維持すると、寿命が長くなるのかは分かりません。むしろ寿命は短くなるかもしれません。
▲このページのTOPへ松田先生
Q2.イモリの足を切断する前に神経を抜いておくと再生しないというのがとても興味のある所でしたが、なぜ神経を抜くと再生しないのでしょう?またショウジョウバエの突然変異で、触覚に足ができたり、足に眼ができたりするということでしたが、それを人工的に作ったり、操作することはできるのでしょうか?(高校生・男)
A.神経は細胞の成長を促す因子や栄養因子を分泌しています。それ以外にも、神経による刺激が再生を促しているのかも知れません。大変興味のある質問ですが、実際にはよくわかっていません。ぜひ、君の手でその原因を解明してください。
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Q1.コート勢力とカントリー勢力の対立によって、(カントリー勢力側の)ストウが要塞のようになっていき、それが発展していったというお話でしたが、その時にコート勢力の方は独自に発展があったのですか?(大学院生・男)
A.実はそれは今、学会でも問題になっていまして、コート勢力がどんな庭をつくったかについては必ずしもはっきりしていません。一番代表的なのはリッチモンドの庭園、現在のキュー・ガーデンと言われるものの一部ですが、その中で実は(カントリー勢力と)似たような庭をつくっていたという証拠があります。カントリー勢力の方はこの当時はまだ野党ですけれども、その後中央政権に返り咲き、18世紀後半には或る意味で与党になります。そしてその頃に庭園史が書かれるようになるので、庭園の歴史を書いた主要な人たちは、もともとカントリー勢力側の人が多いのです。それで、現在研究されているイギリスの庭園史の主流はカントリー勢力側から見たようなところがあります。だからコート勢力側の作った庭園についてはよくわかっていません。現在そういうものをリヴァイズしてもっと別の見方をするべきだろうと言われています。ですから講義でお話したのはカントリー勢力側からみた一つの物語で、それが後にメジャーになるがゆえにそこから見て整合的な歴史ができているわけです。必ずしもそれには包摂できない物語がいくつもあるようだということは申し上げておきたいと思います
▲このページのTOPへゴードン先生
Q1.ゴードン・サトウ先生はマングローブという木を使われたわけですけれども、マングローブ以外で砂漠化を食い止めたりする木や植物はありますか?(高校生・男)
A.マングローブ以外にも海水の中で育つ植物というのはたくさんあります。まだそれについてテストはしていませんがこれからやりたいと思っています。
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Q2.僕自身は食べ物とかに困った経験がなくて、実際に砂漠などの厳しい状況を見たこともなく、そういった人が大多数だと思いますが、そういった僕らがどうやったらもっと真剣に食糧問題に取り組むことができますか?(高校生・男)
A.あなたがそのように思うのでしたら、是非貧困や飢餓に苦しんでいる地域を実際に訪問してその状態を見てください。それが今の世界の数十億人が実際に直面している問題であり、その現状を実際に肌で感じてください。そして何かを考えてください。今のあなた方の豊かな状況は、それは世界の大多数ではなく、むしろ非常に変わった地域にいるんだということを認識していただいて、世界の現状をもっとよく知ってほしいと思います。ただ、日本の食糧自給率が40%以下であることに注意してください。食糧を輸入できない事態が発生すると日本は大変な食糧危機に見舞われます。エリトリアは決して対岸の火事ではありません。日本の豊かさは見かけ上の豊かさです。
▲このページのTOPへ前田先生
Q1.発光ダイオードの色の違いはどうやって出しているのですか?(高校生・男)
A.今回の講義では全然説明しなかったのですが、物質にはバンドキャップというものがありまして、その違いです。色の違いというのはエネルギーの違いなんです。半導体にはバンドキャップという特徴的なものがあり、その違いで色が決まります。だから最近青色発光ダイオードができたといって大変話題になっていますが、あれは、青い色に相当する大きなバンドキャップをもつような適度な半導体というものがなかなか作れなかったからで、それを作った中村さんが非常に注目されているわけです。
▲このページのTOPへ前田先生
Q2.シリコンのような半導体の純度を高めたものに導体を加えてダイオードを作るとおっしゃてましたが,ダイヤモンドの純度を高めてそこに不純物を入れてダイオードのような性質を示させることは可能なのでしょうか?(高校生・男)
A.それは多分できると思いますが、非常にコストがかかると思います。そういう問題で誰もやっていないんだと思います。ダイヤモンドとシリコンは全く同じ結晶構造をしていて、ダイヤモンドは炭素でできていて、シリコンはシリコンでできています。半導体産業でシリコンが大きな地位を獲得するに至ったのは、例えばシリコン基板の表面にシリコンの酸化膜というものをつけないといけないんですがSiO2っていう非常にいい酸化物がたまたまあったことによるものです。
▲このページのTOPへ栗栖先生
Q1.光合成には光化学系が2つあるんですが,何のために2つあるのですか?(高校生・男)
A.これは2つありますが,非常に下等なバクテリアには1つしかありません。何故2つあるかというと,水から電子をひきぬいて酸化することとNADPHをつくることを同時にやってしまおうと思うと,可視光のエネルギーでは無理なのです。紫外線くらいのエネルギーがないと一段階ではできません。しかし紫外線はそんなにたくさんふってくるわけではないので,可視光の限られたエネルギーでやろうと思ってもできません。二段階で行うことによってエネルギーの高いものを作ることができるようになり,2つ必要になるのです。
▲このページのTOPへ栗栖先生
Q1.明反応で光合成を行うときATPは葉緑体から出るのですか。植物の葉緑体やミトコンドリアが作るATPは動物で同じようにエネルギーとして使えますか。もし使えるとしたらミトコンドリアと葉緑体などをつくり火力発電で排出されたCO2を葉緑体でO2に変えミトコンドリアでATPをつくりそのATPをデンキナマズなどに送って発電するシステムを作るのは可能ですか。その装置で必要なものを全て装置でつくれるのでとても環境にやさしいとは考えませんか?(高校生)
A.葉緑体やミトコンドリアの膜にはATPを選択的に運ぶタンパク質がいて、外部に出て行きます。「葉緑体やミトコンドリアの発電所」は面白いアイデアですが、葉緑体だけやミトコンドリアだけを大量かつ安定に保存することは困難です。生物の分子機械は「生もの」でかつ「消耗品」です。
▲このページのTOPへ義江先生
Q1.平安時代の貴族の女性は女房装束という暑苦しい格好でいるんですが,夏でもああいう格好をしてたんですか?(高校生・男)
A.冬は全部裏地がついていますが、夏はついていません。そして夏はなるべく繊維の細いもので風通しがよく作ってあります。そうは言っても今の私達が着るものよりははるかに暑苦しいものを着ていました。なぜかというとこれもかなり重大な問題があるんですが、奈良時代から平安時代にかけての大きな貴族層の変化は、奈良時代は男女がほぼ平等でしたが、平安時代になると、天皇と男性貴族のリーダーシップが強まります。そして、女性つまり貴族の男性の妻たちが後宮の仕事をやってたんですけれども、その後宮の政治的な発言力が弱くなってきます。弱くなってくる理由は、天皇の側近に蔵人という役人達が生まれてその蔵人が後宮の中に入っていって、女性たちの仕事を奪ってしまうという動きが出てくるからです。そういうことで徐々に男尊女卑が進みます。そうすると女性は男性から鑑賞して美しいものとして立ち居振る舞いしてほしいという風に押し付けられてくるわけです。その結果夏でも薄い生地ではあるとはいえたくさんのものを着なければならないという状況になっていったわけです。
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