Q.リードスルー薬に関する質問なのですが、リードスルーしようと思っていた目的のものと別のものをリードスルーする可能性はあるんでしょうか?
A.普通のmRNAが翻訳されるときにもストップコドンを読み超える可能性はゼロではありません。それがもたらす影響はたとえば癌になるとかです。ただ、ナチュラルなストップコドンの後ろにも複数ストップコドンがある例が多くの遺伝子で分かっています。リードスルー活性というのは10パーセントから10数パーセントくらいなので、途中にあるストップコドンを10数パーセントの可能性で読み越えても、おそらく後ろのストップコドンのどこかで止まるだろうというのが我々の理解です。
それからストップコドンを読ませることで、他の正常な塩基配列を読むときにも予定していないアミノ酸配列のタンパク質が出来る可能性はあります。予定していないタンパク質がたくさん出来るかは我々も良く分からないところですが、普通には分解できないような変なタンパク質を作る原因になると困ります。
薬の持っているある種の宿命ですが、リスクとのバランスでリードスルーをしなかったら命を落としてしまう場合には、少しリスクは伴うかもしれないけれどリードスルー薬を使う、というのは正当化しうると思います。