東京大学 大学院総合文化研究科 広域科学専攻 生命環境科学系
【講義概要】
人間には男と女がいますが,植物の多くには雄と雌の違いがありません.より正確に言うと,どの個体も雄(花粉)と雌(胚珠)という2つの性を持っています.こういった植物の多くは,自己の花粉と胚珠の交配によって種子をつくる「自家受精」を行うことができます.ひとつの個体の中に雄と雌があり,自分と自分で子供を作る――我々人間にはだいぶ不可思議な生殖方法にうつりますが,自家受精には相応のメリットがあり,植物が進化の歴史の中で獲得した重要な性質です.なせ植物は自家受精をするのでしょうか.自家受精を促したり,あるいは回避する仕組みはあるでしょうか.自家受精を続けると植物はどうなっていくのでしょうか.『種の起源』を著したダーウィンをも虜にした植物の性の不思議.現代の遺伝子解析技術が解き明かす最新の成果も交えてお話ししたいと思います.
【キーワード】
進化、遺伝子、植物、ダーウィン