東京大学大学院 数理科学研究科
【講義概要】
2以上の自然数であって、1と自分自身以外に約数のない数を素数といいます。2から始まり、3、5、7とつづきます。この辺ではだいたい半分くらいは素数ですが、数が大きくなると、素数の割合はへっていきます。素数の密度に関する法則性は素数定理とよばれ、ガウスが発見し、ド・ラ・バレ・プサンによって証明されました。ユークリッド原論では無限個の素数の存在が証明されていましたが、素数は量的にもたくさんあることが保証されているのです。「犬も歩けば素数にあたる」、というわけです。コンピュタで使われている公開鍵暗号は、素数がたくさんあることと、因数分解の難しさが基礎となっていて、これが鍵作成の自由度が高く推測されにくい理由です。講義では素数の密度と整数論的な性質、応用として公開鍵暗号の原理を話したいと思います。
【キーワード】
素数、フェルマーの小定理、公開鍵暗号、素数の密度
【参考図書】
村上雅人 著「はじめての整数論」(海鳴社)
整数論の初歩が書かれているので、参考されるとよいでしょう。