食文化からみるインド近代史

  1. 日時:2014年7月4日 17時30分から
  2. 場所:18号館ホール(詳細はこちら

東京大学 大学院総合文化研究科 地域文化研究専攻

【講義概要】

 私たちが何を食べているのか、何をどのように食べるべきである/ 食べるべきでないと考えているのかは、個人による好みや考え方の違いのほかに、私たちを取り囲む社会で広く共有されている規範や認識からも影響を受けています。こうした食をめぐる規範や認識のなかには、一見、昔から守られてきた「伝統」のように思われるものもありますが、その多くはそれぞれの時代の政治・経済・社会的変化を受けて、繰り返しつくりなおされてきたものです。
 この講義では、イギリス植民地期のインドに焦点をあて、この時代に食をめぐる規範や認識が、いわゆる「西洋の衝撃」や「近代化」の流れのなかでどのように変化したのかをみていきます。西洋のように肉食文化を広めたほうがよいのか、カーストの異なる人々と一緒に食事をしてもよいのか、自分たちの守るべき食文化、食の伝統とは何であるのか、などの問いをめぐり、当時のインド人エリートたちは活発な議論を展開していました。それらの具体例をみながら、食文化における植民地支配の影響、食とナショナリズム、食とアイデンティティの関係について考えていきます。

【キーワード】

インド、近現代、食文化、植民地支配

【参考図書】

リジー・コリンガム著、東郷 えりか訳 『インド・カレー伝』 (河出書房新社)
辛島 昇 著 『インド・カレー紀行』 (岩波ジュニア新書)

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