イザベラ・バードの旅と写真−史上屈指の女性旅行家とその旅を科学する愉しみ−

  1. 日時:2013年5月10日 17時30分から
  2. 場所:18号館ホール(詳細はこちら

京都大学名誉教授

<講義概要>

 イザベラ・バード(1831〜1904)は終生、病と無縁でなかった小柄な英国女性です。ところが、彼女の海外の旅は南アメリカと南極を除く全大陸に展開し、期間も1854年から1901年まで半世紀近くに及びます。約10 冊もの書物(旅行記、写真集など)、100編を優に超える論文なども書きました。旅行写真家のパイオニアの一人でもあります。王立スコットランド地理学協会と王立地理学協会の最初の女性特別会員でもありました。
 この講義では、彼女とその旅、旅の成果としての旅行記や写真を研究=科学することのおもしろさと愉しさを伝えます。個々には難しくない知的営為を重ねる中で、従来知られていなかった事実を発見できることや、学問の枠組みを超える姿勢こそが大切だということも実感できるでしょう。
 この講義は、私が20年以上にわたって彼女の旅の世界を旅した際に撮影した写真を、彼女の文章や写真・銅版画と重ね合わせて展示するというユニークな写真展(駒場博物館で開催中)と連動しています。地理学が現在だけでなく過去とも未来とも結びつく科学だということを実感でき、「地理学は暗記物」という認識は雲散霧消するでしょう。

<参考文献>
金坂 清則 訳注『完訳 日本奥地紀行(全4巻)』(平凡社東洋文庫)
金坂 清則 編訳『イザベラ・バード極東の旅1・2』(平凡社東洋文庫)
金坂 清則「旅行記と写真展(上)(下)」『地理』55−3、55−4、2010

*本講義は駒場博物館で開催予定の特別展「ツイン・タイム・トラベル イザベラ・バードの旅の世界 写真展」との共催企画です。当日は講義終了後、駒場博物館にて講師によるギャラリートークを開催する予定です。

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