水の同位体からわかる地球水循環の様子とその変遷

  1. 日時:2011年12月16日 17時30分から
  2. 場所:18号館ホール

東京大学 大気海洋研究所 気候システム研究系

<講義概要>

 複雑な地球水循環過程における水の動きを追跡するに当たり、あたかも水に付いた色のように水自体を区別することに利用できるのが、「水の安定同位体比」です。水の安定同位体比とは、水の中の水素安定同位体比(D/H)或いは酸素安定同位体比(18O/16O)のことで、地球上において時間的・空間的な偏りを持って分布しているため、私たちはそれらを観察することによって、いつも同じように見える水を区別することが可能となります。また水の同位体比は、雨や雪として降った後、氷あるいは樹木の年輪やサンゴの殻などに保存されます。これらは過去の気候の記録として、気候変動や古気候の研究に極めて重要な役割を果たしています。本講義では、そもそも水の安定同位体比って何?というような基礎的知識から、大循環モデルや衛星からの観測を用いた最先端研究までをご紹介します。

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