包接化合物の世界――包み込む化合物、包み込まれる化合物

  1. 日時:2010年11月5日 17時30分から
  2. 場所:18号館ホール

東京大学 大学院総合文化研究科 広域科学専攻相関基礎科学系

<講義概要>

 包接化合物。耳慣れない言葉だと思いますが、実は天然にも人工にも我々の身の回りに数多くあり、有効に利用されてもいます。包接化合物は、ホストとゲストと呼ばれる2つの部分からできています。ホストとゲストは、本来は独立した別個の化合物ですが、ホストが独自の空洞を作り、その内部にゲストを取り込むことによって成り立っているのが包接化合物です。ホストがゲストを取り込むことを包接すると言います。通常、化合物というと、原子が結合して分子ができて、場合によってはその分子がさら結合して、というイメージがあると思いますが、包接化合物は、これとは異なる立場から理解されるものです。何しろ、ホストはゲストを単に構造的に閉じ込めているだけで、その間に結合はないのですから。講義では、身近にある包接化合物の紹介から始めて、包接化合物の化学の可能性についてお話ししたいと思います。

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