ソクラテスとは何者であるか――「無知の知」の意味するところ――

  1. 日時:2009年12月18日 17時30分から
  2. 場所:18号館ホール

東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻相関基礎科学系

<講義概要>

哲学者の中で、その存在が一つの謎であり、多くの秘密と不思議に満ちている者といえば、それはソクラテスを措いて、他にいないように思われます。彼の愛知(哲学)の生涯は「だれもソクラテスより知恵のある者はいない」というアポロンの神託によって始まりました。この神託は彼にとって最初は謎でしたが、後にはこれを真理として承認し、ついに最後は神命として受け容れるに至りました。そしてこのような神託の理解を可能にしたのが「無知の知」といわれる知恵の発見です。この講義では、プラトンの著わした『ソクラテスの弁明』によりながら、「無知の知」の意味を探り、それを通して、「ソクラテスとは何者であるか」という、彼の秘密の正体に迫りたいと思います。