100=97の世界――中世日本の貨幣経済

  1. 日時:2008年11月28日 17時30分から
  2. 場所:18号館ホール

東京大学大学院総合文化研究科超域文化科学専攻

<講義概要>

皆さんは日本の貨幣の歴史についてしっかり整理できていますか。その歴史を振り返ると、鋳造貨幣を使っていた時代もあれば、使わなかった時代もあります。また同じ鋳造貨幣でも、日本で鋳造していた時代もあれば、海外から輸入していた時代もあります。今回講義の対象とする中世という時代は、だいたい平安時代末から室町・戦国時代ごろまでを指しますが、このころはもっぱら中国等から輸入された銅銭が使われていました。つまり鋳造貨幣は使っていたものの、国産ではなく、輸入に頼っていた時代ということになります。なぜ日本の中世国家はみずからの手で貨幣を鋳造しなかったのでしょうか。またそのことは当時の社会や経済にどのような影響をおよぼしたのでしょうか。そのような問題を取り上げながら、歴史における貨幣の役割について考えてみましょう。なおタイトルの「100=97」は当時の銭の使用方法とかかわる数式ですが、これについては当日をお楽しみに。