石井直方先生

Q. 筋トレしすぎたら、身長が伸びなくなるってほんとですか?

A.ほんとうでもあり、間違いでもあります。

「ほんとう」の部分:
 成長期(1年間に最も身長が伸びる時期)より前に、不適切な筋トレをやると、身長の伸びを妨げると思います。
 この場合の不適切な筋トレとは、過大な重量を骨の長軸方向にかけるようなやり方で、たとえば重いバーベルを肩にかついで行うスクワットのような運動です。
 このような場合、骨の両端付近にあって骨を伸ばすはたらきをする「成長軟骨」という部分が圧迫され、骨の成長が妨げられたり、骨の障害につながったりします。
 成長期を過ぎて1年くらいすると、骨の成長も終わり、成長軟骨もなくなります。その後は、ケガに注意さえすれば重い重量を使ってもかまいません。

「間違い」の部分:
 一方、成長期やそれ以前の「適切な筋トレ」には、逆に身長を伸ばす効果も期待できます。  筋トレをすると、成長ホルモンというホルモンの分泌が高まります。また、男子では「男性ホルモン」の分泌も活性化します。これらのホルモンはいずれも、骨の成長を促します。
 この場合の「適切な筋トレ」とは、自分の体重や、軽めのダンベルなどを負荷として使い、骨の長軸方向に強い圧迫を加えないようにしながら、十分に筋肉を働かせるというタイプのものです。腕立てやスクワット、斜めけんすいなどで、20−30回くらい繰り返したらへばってしまうくらいの強さと量が丁度良いと思います。

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