東京大学 直島哲学キャンプ ー海と空の間で人間の場所について考えるー

直島哲学キャンプ トップページへ

2007年度 活動記録 〜4日目 8月9日(木)〜

時間イベント場所
08:00朝食つつじ荘
09:00小林・中島両先生による論評ベネッセハウス・ミュージアム
レクチャールーム
11:00解散式ベネッセハウス・ミュージアム
レクチャールーム
12:00昼食ベネッセハウス・テラスレストラン
13:00見送り宮浦港

8時〜 朝食(つつじ荘)

朝食の後、荷物をまとめて大広間へ

9時〜 小林・中島両先生による論評(ベネッセハウス・ミュージアム、レクチャールーム)

一人一人の文章について、2時間かけて二人からコメント。小林先生が司会進行。中島先生が補足の形式。

まず、「考えようとしたとき、私は世界で一人であった。私は哲学できない」の文に、小林先生「そうじゃない。ここは「私は哲学している」となるんだ」、また、「言葉を頼りにできない、しかし、私の横には柱がある。ひどくまっすぐなんだな」のフレーズに、「世界に柱を立てること、これが哲学なんだということに気づいている」とコメント。

そのほか、「上等」「下等」といった言葉遣いに対して、哲学では社会的な価値観を捨て払って考える必要性や、「支配」などの用語の使い方を丁寧にすること、結論を急がず、確認しながら思考すること、待つこと、ためらうことの重要性が繰り返し、対象を変え、言葉を変えながら説かれた。小林先生「哲学は世の中の言葉の乱暴さにあらがう柔らかさ、細かいところに注意を払う繊細さを持っていないといけない」。

中島先生「最初の文章に比べて、劇的な変化があった。これは、私たちの期待以上のもの」と総括。最後に「みんな一人だけれど、どこかに必ず見ている目があることをわすれないで」とコメント。

11時〜 解散式(ベネッセハウス・ミュージアム、レクチャールーム)

高校生一人一人の感想をきく。

  • 「難しいこともあったけれど、来て良かった。これからもこういう活動を続けてほしいし、また、参加したい。」
  • 「直島とは関係のないテーマで書いてしまったが、もんもんと考え続けてきたことを形にできて良かった。」
  • 「ふだん自分は考えすぎていておかしいのではないかと思っていたけれど、仲間がいて良かった。嬉しい。」
  • 「ここに来て、自分のことばの甘さ、軽さに気づいた。ここにくるまで自分は賢い人間だと思っていて「哲学は覚えられる」「正解がある」と思っていたけれど、これからが本当に考えられる状態になったのだと思う。一生懸命考えていきたい。」
  • 「来るのを断ろうと思っていたけれど、そして、自分の周りにはこういう事を考えている人はいなかったけれど、この場所でなかったら出会えないような人たちに出会えて嬉しかった。」
  • 「考えるっていうのは深いことなんだと知った。この人たちはなんで考えているのかなと思っていたけれど、この一歩を大切にしていきたい。」
  • 「難しかったけれど、自分の考えが形になったことが嬉しい。」
  • 「一人で考えを深めていくのは苦しいことだけれど、みんなと話し合う中で気づくことが多かった。」
  • 「哲学=固いというイメージだったけれど、楽しいことだと思った。学校の勉強とは違う、考えることはとても楽しい。直島という場所でというのもとても良かった。」
  • 「自分は色々考えていると思っていたけれど、何事も客観的に見てしまうので、主観的に見ていこうと思った。」
  • 「自分の精神力の弱さを知った。全国に本気な人がたくさんいるのだと思った。今まで自分の言葉で裸で話せる機会がなかったので、昨日の晩は夢の中にいるような気持ちだった。夢というのは「希望」という意味でもあり、寝て覚めたら終わりという意味でもある。」
  • 「高校で「考える」というのは勉強のことで、でも、なにかの利益のためじゃなくて、純粋に考えるということが斬新だった。志の高い人たちが集まっていて、いろんな人がいるのだなあと思った。ようやくなれてきて、もう帰るのかと思うと、少し寂しい。」
  • 「自分にない考えにたくさん出会った。みんな深く考えていることに、びっくりしたし、安心したし、なんだか「負けた」と思ったりした。」
  • 「ここにくるまで教育のことしか考えていなかったが、他のことを考えることが教育につながっていくのだと思った。」
  • 「他の人と話していたときにはここまで考えていなかった。海、星、朝日を見ながら、自分のことを知れた気がした。」
  • 「人間は、本当に考える葦なんだと思った。考え続ける大樹になりたい。」
  • 「母に言われて嫌々参加したが、初めての経験で、今は母に感謝している。」
  • 「一つのものを見て、他の人に質問を投げられて、様々な見方があることを学んだ。これからは、考えて質問していきたい。」
  • 「一番の衝撃は東大の先生達だった。新しい自分に出会えた気がする。今度は父と哲学してみたいと思う。」
  • 「ここに来る前、一人で悩んでいたときは寂しかった。けれど、今、めっちゃ楽しくて、苦しくて、死にたいくらい開かれている。これが「光」なのかなと思う。」
  • 「こんな変な人もいるのだな、と思った。」

以下、スタッフ挨拶。

下井先生司会。初日の夕食の時はみんながかたくてどうしようかと思っていたが、予想以上にうち解けて、最後は高いレベルの哲学の話につながってよかったと挨拶。その後、下井先生の提案で、スタッフ一人一人が「このキャンプで自分が成長したこと」を話しつつ挨拶。

最後に、山本校長挨拶。校長の役割は1)新興宗教になる前にまったをかけること、2)ここでの濃密な時間から、ふつうの生活に帰る、その準備ができるようにすること。親や友達の前でわーっと1時間話し続けるということもなく、さらりと一言でここでの経験を言い表せるような、そういう状態でふつうの生活に戻ってほしいという。

12時〜 昼食(ベネッセハウス・テラスレストラン)

『高校生のための東大授業ライブ』をおみやげとして配布。小林先生、サインを求められつつ、スケッチブックを見て回る。

講師の先生より、突如賞が発表される。中島賞は、「一人じゃないからな」との言葉とともに。小林賞は、「君の涙に」。それぞれにサイン入りの本が手渡される。小林先生がハンナ・アーレントの本をたまたまもっていたということで、ハンナについて書いた女の子にプレゼント。その後、下井先生が講義のために準備してきていた化学おもちゃ二つをプレゼントすることを表明。ウォルター・デ・マリアについて書いた人の中から、じゃんけんで2人がおもちゃをもらうことに。プレゼントを手渡された人は、なぜか女性ばかり!

13時〜 見送り(宮浦港)

つつじ荘からバスで港へ、別れの時。13時55分発宇野行に大多数は乗船。女の子たちはずいぶん泣いている。14時20分発高松行きに4人が乗船。14時30分、スタッフはマリンタクシーで高松へ。