グローバル化時代の中華世界:多様と流動のエチカ

  1. 日時:2019年 7月19日(金) 17時30分から
  2. 場所:東京大学教養学部18号館ホール(詳細はこちら

東京大学 教養学部 教養学科・教授

【講義概要】

 中国は21世紀に入ってから、政治的にも経済的にも急速に巨大化してきました。その結果、これまでの国際関係は変容を遂げつつあります。世界第二の経済大国、勃興するIT産業、活発な宇宙開発、西洋とは異なる政治体制、「一帯一路」などなど、中国はもはやただ単に「四千年の歴史」をもつお隣の文明古国である以上に、人類史の未来を担うゲームチェンジャーになりました。この授業では、人文学的アプローチから、この「グローバル化する中国」を問いなおしてみたいと思います。その手がかりとして、まずは最近英語圏の中国文学研究で注目されているSinophone Studiesという方法論を借りながら、中国の国境を越えて広がる中国語使用人口(例えば東南アジア華僑とか、欧米で暮らすチャイニーズ・ダイアスポラとかです)の流動性・多様性・多声性に焦点を当てることから始めます。また、中国とそれによって変わりつつある世界を理解するために東大駒場で行われているさまざまな取り組みにも触れてみたいと思います。「中国」のいまと未来を考えることは、ただ地域研究の対象として中国を理解することではなく、世界に拡散する複数の「Chineseness」に注意しながら、新しい世界を構想していくことにつながります。この授業を通じて、ことばが違い、文化がちがう人々や集団が、摩擦と調和、分裂と融合を繰り返しながら平和に共生するためのヒントを共に探ってみましょう。

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