タンパク質をデザインして
        産業や医療に応用する

  1. 日時:2017年6月16日 17時30分から
  2. 場所:東京大学教養学部18号館ホール(詳細はこちら

東京大学大学院総合文化研究科・准教授

【講義概要】

 「21世紀は生命科学の時代」といわれています。今世紀における最重要課題のひとつは、DNAに書かれた「生命のプログラム」を解き明かし、その基礎研究の成果を医療や産業に役立てることです。
 「生命のプログラム」であるDNAには、いつ、どこで、どんなタンパク質を作りなさいという指令が書かれています。生体内での様々な反応を実際に担っているのは、DNAではなくタンパク質です。おそらく、この世界に存在する物質の中で、「タンパク質」ほど素晴らしい物質は存在しないのではないでしょうか? タンパク質は、単なる物質なのに、まるで生きているかのように動き、多様な機能を発揮します。ヒトには数万種類のタンパク質があり、それらが物質を生産したり、病原体に結合したりして、私たちの生命を維持しています。このような働きを持つタンパク質は、薬として医療にも利用できます。
 また、軽油相当の炭化水素を生産できる生物もいます。これを作っているのは、その生物が持つタンパク質(酵素)です。このようなタンパク質の働きを飛躍的に向上できれば、生物の作り出す「バイオエネルギー」が、未来の暮らしを支えることになるかもしれません。
 いま、タンパク質研究の最前線では、医療や産業に役立つタンパク質をデザインして創り出すことが可能になりつつあります。タンパク質を自由自在にデザインできる時代が来たら、私たちの生活はとても豊かになるでしょう。それは21世紀の最大の偉業の一つとして語り継がれるかもしれません。そして、そのような時代をつくるのは皆さん自身かもしれません。

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