未来材料:チタン・レアメタル
〜 夢の材料チタンの将来性やレアメタルに関する問題点を解説 〜

  1. 日時:2017年5月12日 17時30分から
  2. 場所:東京大学教養学部18号館ホール(詳細はこちら

東京大学生産技術研究所・教授,同所・副所長,同所・持続型エネルギー・材料統合研究センター・センター長

【講義概要】

 社会が発展し、生活が豊かになれば、高性能の電子機器が数多く使われるようになる。日常生活では直接目にすることは少ないが、電子機器には多くのレアメタルが使われており、私たちは多種多様のレアメタルに囲まれて生活している。いまやレアメタル抜きには、私たちの生活は成り立たない。また、ハイテク製品だけでなく、省エネにもレアメタルは不可欠である。たとえば、ハイブリッド自動車やロボットの高性能モーターや蓄電池、太陽光発電用のパネルや制御器などは、レアメタルの塊と言っても過言ではない。このように、社会が発展すればするほど、多量のレアメタルが必要となる。
 本特別講義では、夢の材料チタンをはじめとするレアメタルの現状や将来性について解説する。また、レアメタルの生産に伴う様々な問題についても紹介する。レアメタルの採掘や製造に伴い、海外では環境破壊が進んでいるが、これらの問題の本質、さらには、レアメタル供給のボトルネックやリサイクルの問題点について講義を行う。

【キーワード】

レアメタル、チタン、未来材料、レアアース、資源、リサイクル、環境破壊、環境調和型プロセス、資源循環

【プロフィール】

 1965年(昭和40年)京都市生まれ。ロンドン日本人学校、筑波大学附属高等学校を経て、88年、京都大学工学部冶金学科卒業。同大学院博士課程へと進み、チタンなどのレアメタルの精錬に関する研究で93年に博士号を取得。その後、日本学術振興会海外特別研究員として渡米、マサチューセッツ工科大学(MIT)の博士研究員として約3年間留学。東北大学素材工学研究所(現:多元物質科学研究所)の助手として5年間勤め、2001年より東京大学生産技術研究所の助教授に着任し、同研究所の准教授を経て、09年から教授に就任した。2012年度からは、東京大学大学院 総合文化研究科 附属国際環境学教育機構(GPES)の教授も兼務している。2014年度は、東京大学 総長補佐を務め 、2015年度より、生産技術研究所 副所長を務めている。
 専門分野は、材料化学、環境科学、循環資源工学、レアメタルプロセス工学。25年以上、一貫してレアメタルの研究に取り組んでいる。"プロセス技術がレアメタルをコモンメタルに変える"ことを夢見て、チタンなどの新製錬技術の開発を行っている。最近は、白金族金属(PGMs)、レアアース(REMs, 希土類金属)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、ガリウム(Ga)、タングステン(W)、レニウム(Re)などのレアメタルの製造プロセスや新規リサイクル技術、環境技術の研究も行っている。

ホームページ:http://www.okabe.iis.u-tokyo.ac.jp

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