幻の蝶ブータンシボリアゲハの自然史

  1. 日時:2014年9月5日 17時30分から
  2. 場所:18号館ホール(詳細はこちら

東京大学 総合研究博物館

【講義概要】

  ブータンシボリアゲハは、約80年前のブータン東部・タシヤンツェ渓谷で、2名の英国人探検家により発見された。その時のわずか5頭の標本が大英自然史博物館に保管されているのみで、その後の記録が途絶えていたアジア最後の“幻の大蝶”であった。ところが、2009年に現地の自然保護官が本種と思われる個体を撮影し、この情報を元に、副隊長として演者も関わった日本調査隊とNHKスタッフ、ブータン政府農林省のメンバーが「学術共同調査隊」を結成して、2011年8月に本種の再発見および生態解明を成し得ることができた。この様子は2011年秋のNHKスペシャルでも放映されている。その後、ブータン政府からの標本の輸出許可が下りなかったが、同年11月にブータン国王陛下夫妻が国賓で来日された際、調査時に得られた5頭のうちの2頭をお運び下さり、日本調査隊に贈呈下さったことで大きな話題にもなった。
  本講演では、この調査で明らかにされたブータンシボリアゲハの特殊な生活史および生息環境について、動画を交えながら紹介するとともに、本地域独特の気候やこれに伴う本種の種分化仮説も解説する。また、保全先進国としても知られるブータンで営まれてきた里山環境の維持や農業形態のあり方など、ブータンシボリアゲハの保全に繋がっている現地の人達のくらしの様子にも触れる。
  一方で、本講演と合わせて今夏(7/19〜9/23)に東京大学駒場博物館で開催している特別展「日本の蝶」の展示内容と現状のチョウ類保全についても概説したい。

*本講義は東京大学駒場博物館との共催企画です。講義終了後、駒場博物館の特別展「日本の蝶」をご見学いただけます。

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