人間について科学で考える

  1. 日時:2014年4月11日 17時30分から
  2. 場所:18号館ホール(詳細はこちら

東京大学 大学院総合文化研究科 広域科学専攻 相関基礎科学系

【講義概要】

 人間を他の動物と分ける3つの要素は、言葉の使用・道具の使用・火の使用だと言われますが、実はどれも不十分な答です。これらの要素はすべて、言語の本能が人間の脳に備わっていることに関係しています。文を理解している時の脳の活動の様子を実際に測ることで、文法に関係する場所が明らかになりました。また、その場所に損傷が起こると、確かに文法の障害が現れます。人間だけが持つ言語のしくみは、科学的に調べられるのです。
 人間の言語は、「再帰的計算」という特徴を備えています。その例を挙げると、「ジャックが建てた家にあった、麦芽を食べた、ネズミを殺した、ネコをくわえた犬……」というように、言葉を繰り返し積み上げて階層を作っていく様子がそうです。実は、再帰的計算による階層性は、自然言語である音声言語や手話にはもちろんのこと、数学的な能力や芸術作品にまで反映されているのです。そうした人間だけが持つ不思議な能力について考えてみましょう。

【キーワード】

言語、心、脳、芸術

【参考図書】

『芸術を創る脳−美・言語・人間性をめぐる対話』(東京大学出版会)
『脳を創る読書−なぜ「紙の本」が人にとって必要なのか』(実業之日本社)
『脳の言語地図』(明治書院)
『科学者という仕事−独創性はどのように生まれるか』(中公新書)
『言語の脳科学−脳はどのようにことばを生みだすか』(中公新書)

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