東京大学 大学院総合文化研究科 相関基礎科学系
<講義概要>
水に溶けにくい物質が水中で集まる現象は疎水効果と呼ばれます。この現象は我々にとって最も身近な水中で起こることや、我々の体に存在するタンパク質や酵素の機能に重要な役割を果たすため、その理解に高い関心が寄せられてきました。このような背景から、疎水効果の研究は古くから行われていますが、未だに謎も多い現象なのです。
この講義では、疎水効果を理解するために水の性質を幾つか紹介し、続いて水に溶けにくい物質とはどのようなものなのかを考え、なぜ水中で集合するのかという問いに対する答えを導きたいと思います。
また、生体分子はこの効果を巧みに使い、互いにフィットする表面間が噛み合うようにくっ付くことで精密な集合体を構築します。この複雑に入り組んだ表面間に働く力が何者で、なぜこのような力が利用されているのか?また我々がこの力を自在に操り、利用することができるのか、その可能性についても考えたいと思います。